彼は知っているだろうか。
どんな思いで決断したのかを。
彼は少しでも、解ってくれるだろうか。
否。
私の知っている彼は、きっと・・・・
私のことを許さないだろう。
それはひどく悲しくて、そう思うだけで胸が張り裂けんばかりに重苦しい。
それでも、私はもう自分を止められない。
私のしていることを、たとえ彼でも・・・・・・止められない。
[0回]
いつからだ?最初から?
俺たちを騙していたのか?
天を統一するためだと言って、悪魔に魂を売るのか?
それがあいつにとっての正しいことなのか?
それならなんて馬鹿だ。
あの時、天を何とかしなければと消えて行ったのは、こんなもののためなのか。
何かを犠牲にしなければ事を成せないなら、結局黙示録が起こったも同じ事じゃないのか。
なんで!なんで!なんで!
「ディーン!!!」
肩をゆすられて、目覚めた先には弟の心配に満ちた顔があった。
ああ、これで何度目だ。
何度この顔を見てきたことか。
あいつの裏切りにあってから、幾度となく巡りくる。
「ディーン・・・・」
「大丈夫だ。悪夢なんてしょっちゅうだ」
「けど」
「サム。何度も言わせるな。大丈夫だ」
サムの言いたいことはわかる。だからこそ、聞きたくない。
あいつの名前などもう二度と聞きたくない。
「ディーン、やっぱりだめだ。ちゃんと話したほうがいい。それはキャ」
「それ以上言ってみろ。おまえでも容赦しないぞ?ぶん殴られたくなかったら、黙れ」
「分かったよ。けど、これだけは言わせてくれ。今の状態は絶対に良くない。頼むから一人で背負い込むことだけはしないでくれ。俺もボビーもいる。絶対忘れないで」
サムの言いたいことはわかる。
それでも、俺は許せない。
信じていたのに。
人と相容れない者同士の絆を。
家族だと、それ以上に大切な存在だと。
なのに、どうして何も話してくれなかった。
キャス・・・・どうして。
助けたかったんだ。
助けられた恩を返したかった。
俺たち力のない人間でも助けられる何かはあったはずだ。
何度も助けてくれた。
俺があんな態度をとってもそれでも、同じように助けてくれた。
俺の思う願いをかなえてくれた。
キャス、天使としての道を外してはいけない。
人としての道を外してはならないように、天使としてそれだけはしてほしくなかった。
悪魔と天使は決して相容れない。
絶対に。
どうか、どうか届いて。
でも、もう・・・・この声は君に届かない。
キャス・・・・親愛なるカスティエル。
どこで、間違った?
俺は、お前に・・・・キャス・・・
変わり果てたキャスの姿に、もう俺は見えていない。
それでも俺は・・・・願うよ。
願い続ける。
儚い願いだとしても。
君が大切だから。
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