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海外ドラマ「SUPERNATURAL」中心に好き勝手に感想という名の妄想トークを繰り広げてます♪小説もどきなどもあります。 ドラマや映画や漫画や本などの感想あり☆日常もたまに^^  
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    小話5-3


    アンバランスな心 
     
     
    そうやって、隠そうとしても無駄に等しい。
    どんな風に装ったところで、私には分かる。
    君がそう装い続ける限り、一生君の望みは叶わない。
    さて、私に何が出来る?

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    ディーン・ウインチェスターから借りたネックレスを手にどれだけ探し回ったか。
    一向に父の存在は感じる取ることが出来なかった。
     
    神はいない--
     
    ウリエルもザラカイアも天にいる誰もが口を揃えて言う。
    神は・・・・父は本当に我らを捨てたのか。
    この現状に悲観し、姿を消したのか。
    いや、そんなはずはない。父は我らを愛しているはずだ。
    愛しているものを簡単に見捨てたりするはずがない。
    神の愛は平等で、不変なものだ。
    大天使に抹殺された私を誰が救ったと言うのだ。
    死を復活させることが出来るのは、この世でただ一つの存在しかいない。
    なのに、何処を探しても見つかる気配がない。
     
    この手に握りしめるネックレスに目を落とす。
    彼なら?
    彼は言ってくれた。
    「探せ」と。
    彼なら私の気持ちを理解してくれるはずだ。
     
    「ボビーか?」
    「天使が電話とはな。世も末なわけだ。どうだ、俺の脚は治してくれそうか」
    「すまないが、まだだ」
    「たく、役立たずな天使だ。今度それ以外で電話してくるなら、轢くぞ」
    「・・・・サムに電話をかけたが繋がらない。ディーンの居場所を教えて欲しい」
     
    ボビーに居所を聞いてここへ来たのだが、ディーンの様子はただ事じゃなかった。
    何処か投げやりな、それでいてやけに落ち着いているような・・・アンバランスさ。
    その原因は簡単についた。
    辺りを見回してみても、いるはずの人物がいない。
    その気配さえないのだ。
     
    「サムはどこにいる?」
     
    聞いてみれば、答えは予想通り。
    ディーンがこうなる原因など他にはない。
    今の状態のディーンに頼むのも気が引けたが、頼れる人物も時間もない今はどうしようもない。
     
    「ラファエルを捜す?」
    「ああ、私を殺した天使だ。大天使であるラファエルなら何かを知っているかもしれない」
    「だが、どうやって?」
    「大体の見当はついている。だが、肝心のラファエルの器が分からない」
    「それを聞き出すってことか・・・なら話は早い」
    「では、行こう」
    「ちょ!待て待て!」

    瞬間移動なら早いのに、彼は車で行くことを頑固として譲らない。
    人間は何故不便な方を進んで選びたがるのだろうか。
    全く理解が出来ない。

    長い時間をかけてようやく目的の場所へ辿り着いた。
    そして、突然彼は問いかけた。

    「ちなみにお前はどうやってそれを聞き出そうと考えてた?」
    「私は天使だ。ラファエルという天使の器を探している。心当たりはないか?」
    「・・・・だろうと思ったよ。ったく、馬鹿正直な奴。いいか、ここは人間の世界だ。人間には人間のやり方があるんだよ」

    そういうと、彼は車のトランクから何かを取り出した。
    そして、突然振り向いたかと思ったら、光のようなものを当てられた。
     
    「お?結構男前に写ってるぞ。これで完璧」
    「ディーン・・・・電話番号を教えてくれ」
    「・・・・それ、今言うタイミングか?」

    回りくどいやり方で、ラファエルの器の場所を知ることが出来た。
    人間というのは何とも不便な生きものだ。
     
    誰が私を復活させた?
    それは神でしかありえないはずだ。
    なのに、ここに来てどうして奴の名が上がる。
    ルシファー。
    奴が私を復活させる目的などありえない。
    同じ堕天使の身で同情した?元は奴も天使だ。有り得ないこともない。
    だが・・・。
     
    「俺の父もそうだった。死んだと聞かされて、それでも納得できず探し続けた。それは自分を信じたからだ。誰に言われようと、自分自身の勘で“いる”と信じ続けた」

    ディーンの言わんとしていることは分かる。
    諦めずに自分を信じろということだ。

    「お前はどうなんだ?いると、思うのか?」
    「私は・・・・生きていると思う」
    「なら、探せ。誰に言われても自分を信じろ。俺もそうだったように」
     
    ならば、と別の感情が心に浮かんだ。

    「君は?君は大丈夫か?」
    「俺か?平気さ。今までにないくらい幸せを感じてる。ずっと俺は家族に縛られていた。だからか、今は凄く気分がいいんだ。一人になれて、幸せだ」
     
    嘘だと、言いたかった。
    言葉の意味とは裏腹に表情に一切の感情もみられない。
    それの何処が、幸せなんだと。
    君の心は不安定で今にも砕け散りそうなほどなのに。
    けれど、何も言えなかった。
    自分がそれを言ったところで、彼には届かないことが分かったから。
    彼に対して何もできない自分が腹立たしくて、これ以上彼の痛ましい表情を見るのが耐えられなくて、消えることしかできなかった。
     
    “こんなに笑ったのは久しぶりだ”
     
    気付いているのか?
    笑ってなどいないことを。
    君は決して笑ってなどいない。
    君の本当の笑顔を私は見たことがない。
    だけど、君がそう言ってくれるならば、信じたい。
    私に信じる心をくれる君を。 

    君が全ての不幸を背負うなら、せめて少しの安らぎを。
    私がそばにいることで得られる何かがあるなら、君の傍に居続けよう。

    END
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